ヒラリンの心理研究室

人の心理や行動って不思議だと思いませんか。人の心を解き明かします。

正常性バイアスとは?

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人間の思い込みの危険性

ところで皆さんは正常性バイアスという言葉をご存知でしょうか?ざっくりいうとこれが普通であり通常であるという思い込みに捉われて、状況の変化に対応できないようなバイアスです。

例えば以前こういう大惨事がありました。

【御嶽山噴火1年】生還女性が初めて語る「あの時」 「焼け死ぬのか、溶けるのかな…」(1/6ページ) - 産経ニュース

2014年にした発生した御嶽山噴火では58人もの尊い人命が失われました。

不幸にも亡くなられた人の中には、火山が起こる可能性について全くそのリスクを過小評価していた人も少なくなかったかもしれません。あるいはまったくゼロで火山の可能性を認識してなかった人も。

もちろん何か物事に取り組む上では、起こると好ましくないリスクについての可能性を考え、準備や対策をするという事は大切です。

そうすればしなかった場合よりも、より適切に物事に対処できるようになるからです。

そして物事の正しい認知を歪ますような正常性バイアスの罠に嵌るような事も少なくなります。

ネガティブ体験の効用

人間は誰でも自分なりの思い込み≒バイアスというのがあって、その通常的な主観のフィルターを通して、様々な現象や物事を判断しようとします。

いわば誰でもある程度の恣意的なバイアスに支配されているわけで、裏返すと完璧に客観的な見方や観点はないという事です。

では何故悪くなるような状況の変化に対応できないバイアスが形成されるのか?

コロナ問題もそうですが、刺激に対する慣れというのもあります。

ずっと自分の身に問題がなかったのだから、これから先もないだろうというポジティブな経験に対する慣れです。

逆にいうと例えば自分の身内が感染したりすれば、警戒心や不安が醸成され、自分の感染リスクに対する認識は深まる事でしょう。身内の感染がコロナに対するネガティブな経験になるからです。

昨今のコロナ感染者急増の原因は政策の失敗というより、こういう所もあると思っています(20/11/29現在)。

 つまり人間はネガティブな体験をすれば、それに対する意識の高まりの為、自分にとって都合の良いバイアスから解除される可能性が高まるのです。

また自分のリアリティから抜け出し、多面的に物事を見る観点が生まれます。そうするとリスクの危険性を過小評価したりするケースがグンと低くなる事でしょう。

正常性バイアスの仕組み

私の見解では正常性バイアスは意識の心掛け次第では大分と減りますが、完璧にはなくす事は難しいです。いちいち物事の認識の点検をするのは脳に負荷が掛かりすぎて疲れるし、やはり快適な状態に保っていきたいからです。

また人間の認知の仕組みとして、過去に体験した様々な出来事より導き出され・抽出化された観念や概念、それらに基づく正当的な意味や解釈の方が、現前に展開する事象や物事の変化をそのままに認識しようとする姿勢より優先されるというのがあります。いうなれば意味や解釈のフィルターを通して、実際に展開する物事の動きや状態を推理・推測するのです。

こういう認知のシステムが普通に生きてる限りは機能するので、事前に得た知識や情報を元に構築される、(自分にとっての)世界に対する正常性をどうしても信じてしまうという事になります。

しかし前述しましたように意識するだけで大分変わります!

これを読んでおられる皆さんがこういった認知のカラクリを気付き、正常性バイアスの罠をなるだけ回避されるようになれれば幸いです。